| 「変 | 死」でのエピソード:市川裕隆 編 |
幸 |
福な出会い |
「変死」のオーディションもかねた面談に、市川氏はセカンドバッグ片手に軽やかに、かつさわやかにやってきた。包み隠さず第一印象を申すならば(小生よりは一回りも年上の方にこんなことを申し上げるのは甚だしく失礼だが)、とても清清しい好青年、この一言に尽きる。 |
寿 |
志というキャラクター |
| 今回市川氏に演じて頂いた寿志というキャラクターについて。 人は「些細なことでブチギレしない」ように物事を「テキトーに処理し」たり「忘れ」たりしながら生きている。「そこらへんにいる人に愚痴っ」たり「とりあえず飲」む、など一見ネガティブな行為も、ストレス発散に一役買うことだってあるのだ。「がんばります!」なんて下手なポジティブ思考よりも「まぁいいや」「飲んどくか?」等々諦念にも似た感情の方が人を生かすこともあるのだ。それはさておき。 市川氏演ずるところの「寿志」はストレスを溜め込めるだけ溜め込んでおいて、挙げ句の果てには人が「えっ?」と思うようなことで突如爆発する。「その程度のストレス」に見合わないやりかた、レベルで爆発する。本作では台詞を使用していないため、市川氏にはすべてを所作のみで表現してもらうしかなかったのだが、それが余計に寿志の無気味さを増している。肉体表現を得意とする市川氏にはまさにもってこいの役だったのではないかと思う。また氏の特有のムード−−どこか中性的で明るいような暗いような、ただならぬ雰囲気−−も、私達が求めていた「寿志」像と重なる部分が多い。寿志の爆発ぶりと同時に、どこからどこまでが演技なのか不可解な市川裕隆の怪人っぷりを観客の皆様に堪能していただければと思う。 |
軽 |
やかに |
今までの役者人生の中で、有明(下水)処理場内での撮影が一番印象的だった、と市川は述懐する。その言葉通り、あの日の市川は広大な施設の中で一際輝いて見えた。まるで施設内すべての空気を市川が支配するかのような、そんな迫力で彼は撮影に挑んでいた。話しかけようにもどこか近寄りがたく、撮影は黙々と続いた。しなやかに施設内を駆け回る姿は美しく、しかしどこか人間離れした雰囲気をも漂わせていた。 |
敵 |
前逃亡の彌勒菩薩/DRESS DOWN SOCIETY |
役者としては重点を舞台より映像表現に置きたいという市川氏だが、舞台への出演依頼も決しておざなりにせず、あちこちで期待に応えている。「変死」出演後は舞台への出演が相次いだ。 |